顎関節症に悩む人が増えています
近年、大人から子どもまで、幅広い年齢層にわたり顎関節症に悩む人が増えています。顎関節症は顎関節の異音や開口障害といった症状を伴いますが、軽症の場合は気付かないことが多くあります。
もしもそのまま放置していると症状が徐々に悪化し、治りづらくなってしまうこともあるのです。そのため、早めの治療が肝心です。顎に違和感を感じたり、開閉時に変な音がしたりすることに気付いたら、早めに当院までお越しください。
顎関節症の主要な症状
口を開けたときに指が縦に3本入らなかったら、顎関節症の疑いがあります。また、今のところは大丈夫でも慢性化させないためには早期発見が重要です。顎関節症の主要な症状は以下の3つです。
- 顎関節を動かすと「ジャリ」などの音がする
- 顎を動かすと、顎関節が痛い
- 口が大きく開かなくなった
顎関節症の原因は顎への負担
顎関節症の原因は顎への負担です。顎への負担の具体例としては以下のようなものがあります。
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不正咬合
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不正咬合とは咬み合わせが不適切であるということです。咬み合わせは遺伝的な要因のほかに、環境的な要因からも影響を受けます。咬み合わせが悪いと片側の顎関節だけに力がかかったり、不適切な方向への圧迫につながります。
毎日の食事によって、このような顎への負担が蓄積し、顎関節症を誘発するおそれがあります。不正咬合を治すには、専用の装置を装着して歯列矯正を行います。
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ブラキシズム
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ブラキシズムとは歯ぎしりや食いしばりのことです。歯ぎしりや食いしばりは睡眠中やストレスによって起こるほか、運動中や力仕事の際にもしてしまいがちです。歯を力いっぱい合わせることで歯や歯周組織の破壊、さらに顎関節への大きな負担になります。
これを防ぐには日ごろから上下の歯を接触させないように意識したり、スポーツではマウスピースを使用するなどの方法があります。
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頬杖などの癖
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顎の関節に負担のかかる癖と言えば、片側で咬むこと、うつ伏せ寝、横向き寝、頬杖があります。
このような癖があると、咀嚼筋や顎関節の緊張や疲労の原因となることがあります。癖は日常的に何度もしてしまうことですので、直すように心がけないと顎関節症の症状を長引かせる要因となります。
慢性化すると頭痛や肩こりの原因に
顎関節症は慢性化すると、頭痛や肩こり、耳鳴り、めまいなどの原因となることがあります。これらの症状は他の病気においても起こりうるものですので、顎関節症が原因だと診断することは容易ではありません。心配な場合は、歯科・歯科口腔外科などで顎関節のチェックを受けてみましょう。
また、見た目の上でも顎のずれは確認できます。口角を結ぶ線と両目を結ぶ線が平行にならないのが特徴です。当院でも顎位のチェックを行っておりますので、ご利用ください。
歯ぎしりや食いしばりをしていませんか?
歯と歯を強い力でこすり合わせる「歯ぎしり」や、歯を強い力で嚙合わせる「食いしばり」は、無意識に行っていることがあります。一緒に寝ているご家族やパートナー、友人などに指摘されて、本人が初めて自覚するケースも珍しくありません。
そんな歯ぎしりや食いしばりは、「ギリギリ」という嫌な音で周りの人に迷惑をかけるだけでなく、歯の摩耗や欠損など、本人の口腔環境に深刻な悪影響を及ぼすこともあります。そのため、歯ぎしりや食いしばりをしてしまう原因を突き止めて、治療を受けることが望ましいです。
歯ぎしりや食いしばりの原因
無意識に行うりや食いしばりは、総称して「ブラキシズム」と呼ばれます。ブラキシズムの原因は非常に複雑で、具体的に特定することは困難です。ここではブラキシズムの原因となり得る要素を3つ取り上げます。
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かみ合わせの異常
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上下の歯が正常に嚙み合っていないと、歯ぎしりをしやすくなります。歯の治療後、歯の詰め物・被せ物が高くなっている場合は、かみ合わせに異常が起きやすいです。
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ストレス
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人間は、何かに集中している時や強いストレスに襲われた時、歯ぎしりをしやすくなる傾向にあります。睡眠中に行うブラキシズムは、起きているときに受けたストレスを和らげるためであるとも考えられています。
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喫煙・飲酒
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喫煙や飲酒がブラキシズムの原因となることがあります。過度な喫煙や飲酒は、色々な病気のリスクにもなるため、飲み過ぎず吸い過ぎず、適度にしておいた方が良いでしょう。
歯ぎしりや食いしばりが起こす悪影響
歯ぎしりや食いしばりは、歯そのもだけでなく、歯を守っている歯茎の他、顎や首、肩など口以外の部位にも悪影響を及ぼすことがあります。
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歯の摩耗・破折
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歯ぎしりや食いしばりをし過ぎると、歯がすり減っていきます(摩耗)。歯に亀裂が入ったり、欠けたり、割れたりすることもあります(破折)。
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歯肉炎、歯周炎の原因
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歯茎が晴れる「歯肉炎」や、歯肉炎が悪化してなる「歯周炎」の原因となることがあります。これらの症状は、最近の感染によって発生する「歯周病」の症状ですが、歯ぎしり等によって歯茎や歯槽骨に強い力がかかって発症することもあるのです。咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)とも言います。
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顎関節症
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歯ぎしりによって顎の関節に強い負担がかかり、口が開けにくくなったり、顎がカクカク鳴ったりするといった顎関節症の症状を引き起こすことがあります。
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頭痛、肩こり、腰痛など
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歯ぎしりや食いしばりによって口の周りの筋肉が酷使されると、その悪影響が首や肩、腰などの筋肉や関節にまで及びます。その結果、頭痛や肩こり、腰痛などの症状を引き起こすこともあります。
歯ぎしり・食いしばりの治療
歯科で受けられる歯ぎしりや食いしばりの治療法として、「スプリント療法」と「ボツリヌス療法」があります。
それぞれの治療法に特徴(メリット・デメリット)があります。
スプリント(保険適用)
治療方法
「スプリント(マウスピース)」と呼ばれるマウスピース型の装置を装着して治療する方法です。名前の通り、文字通り、夜、睡眠前に「スプリント(マウスピース)」装着して、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりによる筋肉や関節への負荷を軽減します。また、かみ合わせの位置を修正する効果も期待できます。
メリット
スプリント療法のメリットは以下の通りです。
- 睡眠中に歯ぎしりや食いしばりをしているか確認できる
- 歯ぎしり等による負荷を軽減できる
- 歯ぎしり等による歯の摩耗や破折を防ぐ
- 保険が適用されるため、
治療を受けるときの費用負担が軽く済む
デメリット
一方で、以下のようなデメリットがあります。
- 使い始めは違和感や異物感を強く感じる
- 装置のきれいに保たないと口腔内が不潔になるため、
まめなケアが必要 - 定期的な装置のメンテナンスが必要
治療の流れ
スプリント療法は、以下の流れで煤えます。
- カウンセリング・診査診断
- 口腔内の型取り・
スプリント(マウスピース)製作 - スプリント(マウスピース)の装着と調整
- 経過観察
ボツリヌス療法(保険適用外)
ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌の持つ毒素(ボツリヌストキシン)を利用して、口周辺の筋肉の過剰な働きを抑える治療法です。美容外科では広く活用されている治療法なので、ご存知の方は多いかもしれません。歯ぎしりや食いしばりの治療では、主に咬筋(こうきん)と呼ばれる、噛む動きで使われる筋肉の働きを抑えます。
治療方法
ボツリヌストキシンを主成分とする薬剤を注射します。注射時や注射後に感じる痛みや不快感などは、
その他の注射と大差ありません。
メリット
ボツリヌス療法のメリットは以下の通りです。
- 施術時間が短い
- 患部の切開などの外科的な処置は不要
- 注射針が細いので、痛みが小さく、跡も残りにくい
- 施術を受けた日から入浴や化粧が可能
デメリット
一方で、以下のようなデメリットがあります。
- 施術した箇所が内出血することがある
- 3~4ヶ月程度で効果が薄れてくる
- 妊娠中、授乳中の場合は施術を受けられない
治療の流れ
ボツリヌス療法は、以下の流れで進行します。
- カウンセリング・診査診断
- 虫歯・歯周病などがあった場合はその治療を行う
- ボツリヌス菌の注射
- 経過観察
歯ぎしり・食いしばり治療のQ&A
ボツリヌスとボトックスの違いは?
ボツリヌスは、ボツリヌス菌が産生する毒素を指します。一方、ボトックスはアメリカのアラガン社が販売している医薬品を指しています。つまり、ボツリヌスは成分名、ボトックスは製品名と言い換えることもできます。
ボツリヌスの注射時に痛みはありますか?
痛みは、一般的な注射と大差ありません。また、事前に表面麻酔をすることで、痛みや不快感などを緩和できます。
ダウンタイム(施術してから回復するまでの期間)はありますか?
ボツリヌス療法にダウンタイムはありません。施術後、すぐにご帰宅いただけます。施術部位が内出血することもありますが、数日以内に消えます。
また、銀歯は接着する際のセメントが保険で決まった種類となっており、保険のセメントは劣化しやすく、歯との間に隙間ができ、そこから虫歯菌が入り込み内部で虫歯が再発(2次カリエス)することもあります。もちろん、何十年も装着しても問題がない人も稀にいますが、一般には銀歯の寿命は5~7年といわれています。銀歯が劣化すると、歯が脱落したり、虫歯の再発が起きたりするため、思い切って虫歯になりにくい白い材質に替えてみてはいかがでしょうか?
ボツリヌス療法後、飲酒は可能ですか?
禁止ではありませんが、施術した当日は飲酒を控えることをおすすめします。
ボツリヌス療法後、運動は可能ですか?
飲酒と同様、施術した日は運動も控えることをおすすめします。歯科で用いるボツリヌスは、医科での使用量と比べると極めて少なく、全身に与える影響も小さいですが、念のために、安静にしておきましょう。
注入時の注意点などありますか?
基本的には、普通の注射と変わらりません。リラックスして施術を受けてください。過度に緊張すると、注射などの刺激に対して過剰に反応してしまうことがあります。
料金はいくらになりますでしょうか?
診査・診断しお伝えさせていただきます。
(美容目的では行いませんのでご了承ください。)